地震とマルの引きこもり②
「ただいまー、マルー、ベルー」
と夜に仕事から帰って、玄関を開けると、
お迎えに来たのは、ベルだけです。
ベルはいつもと変わらない
態度でしたが、
マルの姿が見えません。
いくらマルの名前を呼んでも、普段のように
飛んで来ません。
探すと、押入れに隠れていました。
私を見る目が明らかに違います。
マルの緊張感が伝わってきます。
呼んでも押入れに引きこもったまま
出てこようとしません。
震えてるマルを放置して、仕事に
出かけたことで、私に対する信頼を
失ってしまった?
もしかしたら、朝からずっと
押入れに引きこもっていたのかも
しれません。
ベルより野性の本能が強いマルは、
身の危険を強く感じたままなのでしょう。
私が二階の寝室に行くと、
押入れから出てきて、ついてきました。
寝室が大好きなマルです。
尻尾はずっと垂れ下がったまま、
時折、忙しく左右にパタパタと
振っています。
耳はピンと立ったままです。
寝室内ををぐるぐると
回り続けています。
朝からかなりの時間が
経っているのに、マルの地震初体験の
恐怖は、継続したままです。
マルの不安な気持ちが
伝わってきます。
こんなマルは見たことがありません。
私の姿すら今のマルには
視界に入らないみたいです。
ごめんね、ずっと側に
いてあげられなくて。
朝にはいつものマルに
戻ってるといいけど。